2016-03-20

谷底の神父

ある谷底に教会がありました。その教会の神父さんは、何十年もその地域のためにお祈りを捧げていました。
あるとき、何百年に一度という大洪水が起こりました。どんどん水があふれてきます。
村人が教会やって来て、「神父さん、早く逃げましょう。山のほうに行けば助かります」と言いました。
しかし、神父さんは「大丈夫です。私はずっと神様を信じていますから、絶対に奇跡が起こります」と言って谷底の教会に残り、お祈りを続けました。
ところが、洪水の水は一向に引く気配がありません。ついに水が教会の敷地内にまで入ってきました。
すると、ボートに乗った村人が教会にやってきて、「神父さん、危ないです。このボートに乗って逃げましょう」と助けに来てくれました。
それでも、「いや、大丈夫です。必ず神様が助けてくれますから心配しないでください」と神父さんは言って、屋根の上でお祈りを捧げています。
いよいよ、水が屋根にまで上がってきました。神父さんは屋根の先端から十字架の上まで昇って、お祈りを続けました。
今度は、村人がヘリコプターに乗って、神父さんを助けに来ました。縄ばしごを垂らして、神父さんに「神父さん、死んでしまうから、はしごにつかまってください!本当に助けたいんです!」と懇願します。
しかし、神父さんは「大丈夫です。いまはこういう状況ですが、必ず神様が助けてくれます」と言って、村人の助けを断ります。
結局、神父さんは死んでしまいました。
何十年もお祈りを捧げていたので、天国に行けることになったのですが、天国の入り口で神様に質問をします。
「私はずっと神様のためにお祈りをしてきたのに、どうして奇跡は起きなかったのですか?」
すると、神様は答えました。
「三回も助けをやったぞ」と。

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